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BtoBビジネスモデル別の新製品開発の種類とポイント

BtoBビジネスモデル別の新製品開発の種類とポイント

ビジネスモデルによって新製品開発の手法には種類があります。それぞれの手法の違いを理解し、進めていくことが重要です。

【この記事でわかること】

・BtoBビジネスの分類

・BtoBビジネスの分類ごとの新製品開発の形態

・新製品開発の開発手法とそこでのポイント

1. ビジネスモデルの分類

BtoBビジネスには種類があります。実はその種類によって新製品開発の手法は変わってきます。筆者が在籍していましたキーエンスは、高付加価値を生み出すオンリーワン商品を企画開発することで有名でした。ところが、その手法は通用する場合と通用しない場合があります。

 例えば、電子部品を製造、販売しているような企業では、キーエンス型の新製品開発の手法は、通用する部分としない部分があります。そもそも、部品として供給されるため、高い差異化はできないという前提があるからです。通用する部分としては、社会環境の変化や技術動向の変化によって生まれる潜在ニーズを先取りする考え方です。一方、通用しない部分としては、付加価値(差異化の程度)を高めて高い値付けをして販売するという部分です。これについては、根本的に考え方から異なります。部品という性格上、上限とする価格が決まっているからです。

自動車部品なども同様です。キーエンス流の「営業担当者が顧客ニーズを拾って新製品開発に活かす」という手法は、作るものの仕様が決められている中では、ほとんど通用しないでしょう。

このように、BtoBビジネス(企業向けビジネス)では、その類型によって新製品開発の手法はことなってくるため、それを理解したうえで、コンサルタントなどを依頼する必要があります。

図1を見てみましょう。これは、BtoBビジネスを分類した図です。まず上下については、「自社製品」か「受託製品」に分類できます。例えば、「KEYENCE」というように、自社製品に何らかのメーカー名、ブランド名がついているような製品です。電子部品などもメーカー名、ブランド名がついているケースがありますので、上に分類されます。

一方、自動車部品のように、部品に自社のメーカー名、ブランド名などが入れられないケースは下に該当します。一部、Tier1などの大手自動車部品メーカーでは、自社メーカー名やブランド名を入れているケースはありますが、Tier2以下の大多数のメーカーではそういったメーカー名、ブランド名を入れることはありません。

次に、左右の軸を見てみましょう。これは、製品・サービス・部品などの特長・仕様を売り手(製造側)か買い手(顧客側)のどちらが決めるかを表しています。例えば、キーエンスの場合、特長・仕様は自社で企画立案し製造、販売していきます。ところが、化粧品、健康食品などのODMでは、買い手である顧客は「〇〇を作ってほしい」と依頼するだけで、実際の仕様(レシピというケースも多い)は、製造する側(売り手)が決めるケースが多いです。一方、先ほど述べたような自動車部品では、特長・仕様などは顧客側が決めます。つまり、自社メーカー名、ブランド名が入るかどうか。特長・仕様を売り手か買い手のどちらが決めるかによって、ビジネスモデルは4分類されるのです。

左の上は、自社ブランドがついていて、顧客側が特長・仕様を決めるケースで、ここを「自社ブランドパーツ型」と呼びます。具体的には、先ほど述べたような電子部品などが相当します。例えば、京セラなどはここに該当します。次に、右の上は、自社ブランドがついていて、かつ、特長・仕様も自社で決めるビジネスが該当します。キーエンスはここに入ります。また、最近多いSaasなどを作っている企業もここに該当するケースが多いです。ここは「ソリューション提供型」と呼びます。

次に、左の下は、ブランド名をつけられない、特長・仕様も決められないタイプのビジネスです。ここを「受託パーツ型」と呼びます。最後に、右下のブランド名はつけられないが、特長・仕様を決めることができるゾーンを「受託カスタム型」と呼びます。

このように、BtoBビジネスを実践している企業は、高収益企業も多いですが、その中身は明らかに異なっているため注意が必要です。

<図1>

2. 各ビジネスモデルの特長

次に、ビジネスモデルごとに新製品開発の手法がどう違うか見てきましょう。まず、左上の「自社ブランドパーツ型」です。このモデルの特長は、ブランド名はつけられるものの、特長・仕様を顧客が決めてしまうため、明確な差異化が難しいことです。QCD(品質、コスト、納期)をいかに詰めるかがポイントとなります。従って、キーエンスの手法のような「顧客がもっている潜在ニーズを収集して新製品開発に活かす」という手法はほとんど通用しません。アメーバ経営という京セラの稲森氏が生み出した経営手法は、まさに、このモデルに適している手法になります。

右上の「ソリューション提供型」では、「何を作ればいいか」を誰も教えてくれないため、顧客ニーズを収集し、それを分析するような手法が鍵となります。まさに、キーエンス流の新製品開発手法が最も適しているゾーンになります。このゾーンでは、製品の差異化程度が高ければ、価格も高くできるという性質を持っています。従って、キーエンスのような企業も生まれやすいゾーンになります。

左下の「受託パーツ型」のモデルでは、ブランド名を付与することもできず、特長・仕様さえ決めることができないため、製品、部品での差異化は極めて難しくなります。ここでの勝ち筋は、「自社ブランドパーツ型」と同様に、QCDを如何に高めるかです。また、価格決定権をほとんど持っていないため、量産効果でコストを下げることが利益創出につながります。「トヨタ生産方式」「カイゼン」などは、まさに、このゾーンのビジネスモデルに適しています。

最後に、右下の「受託カスタム型」では、特長・仕様の決定権を持っているため、差異化の程度を高めることが可能となります。それによって、価格も比較的高くすることもできるようになります。このゾーンでは、過去の経験やノウハウと言った強みが最も活かせるゾーンと言えます。

3. 3つの新製品開発手法

このように、BtoBビジネスでは、ブランドの付与、特長・仕様の決定権によりビジネスモデルの性格が大きく異なってきます。そうなると、当然、新製品開発の手法も異なってきます。BtoBビジネスでは、新製品開発の手法は大別して3つに分類されます。

図2を見てみましょう。これはBtoBビジネスにおける3つの手法を表にしたものです。一番上は、「自社製品マーケティング」です。市場調査から新規事業・新製品の形を整えていくような手法です。特長・仕様が決められていないため、自社のマーケティング活動で調査し、決定していく必要があります。ここでのポイントは、顧客ニーズを集合化させ、構造として捉えることです。集合化とは、同じような属性を持った顧客が同じようなニーズを持っているかどうかを調査し、そうであればそれを1つのニーズの集合体として捉えていく手法です。構造化とは、顧客の言葉(主観や意見)ではなく、事実ベースで顧客ニーズを形として捉えていく手法です。この集合化と構造化を繰り返し、自社製品の特長・仕様を尖らせていきます。

真ん中は「疑似製品マーケティング」という手法です。これは、実際に製品はないが、あるような見せ方をして具体的な案件を収集し、そこからODMやOEMを受注していく手法です。実際に製品がないのに新製品というと違和感があるかと思いますが、部品ビジネスのように何らかのカスタマイズが入る場合は、実際に製品をつくるだけでもコストがかかってしまいます。従って、「製品を作らず製品を見せる」という「疑似製品マーケティング」が有効となってきます。

最後に一番下の「リードユーザーマーケティング」です。これは、最先端技術などに関わる新製品開発の手法です。マーケティングどうこうよりも、最先端技術に対して製品・部品がつくれるかどうかが重要となります。従って、鍵となるユーザー(リードユーザー)と一緒に開発していくため、自社におけるマーケティング活動はほぼ不要となります。

<図2>

4. ビジネスモデル別の新製品開発の手法

この3つの手法と先ほどの4つのビジネスモデルの関係を示したのが図3になります。キーエンスのような「ソリューション提供型」ビジネスの場合は、製品・サービスの差異化程度を高める必要があるため、「自社製品マーケティング」が必須となります。一方、左上の「自社ブランドパーツ型」、右下の「受託カスタム型」の場合は、QCDを高めて受注をいかにとるかという点が重要になるため、「疑似製品マーケティング」が有効な手法となります。最後に、左下の「受託パーツ型」では、自社で特長・仕様を決めるケースがないため「リードユーザーマーケティング」が適切な手法となります。

この3つの手法は、一見異なっていますが、共通している部分もあります。それは、「社会環境の変化から時代を先取りする視点」です。自社製品マーケティングでは、その視点は必須です。社会が変わることによって生まれる潜在ニーズを先取りし、それを活用することで差異化程度の高い製品・サービスが生み出せるからです。「疑似製品マーケティング」でも先取は重要です。鍵となるのはQCDですが、自社に声をかけてもらうためには、ニーズの先取り、技術の先取りをすることで、顧客に興味を持ってもらい、自社に声をかけてもらう必要があるからです。「リードユーザーマーケティング」も同様です。今まで声を掛けてもらっていたから今後も大丈夫だろうと考えるのではなく、顧客の琴線に触れるような提案をし続けてこそ、声をかけてもらえる体制を作りことができるからです。

このように、BtoBビジネスでは、その形態によって新製品開発の手法は大きく変わってきます。キーエンスが高収益を上げているため、どうしてもその手法を学びたくなりますが、その手法を学んでも、それは、3つのうちの1つを学んだにすぎません。ミスマッチするケースも少なくありません。「ニーズカードの仕組みを導入する」といったケースも増えているようですが、それは、あくまでも自社製品マーケティングの手法の1つにすぎないのです。

BtoBビジネスモデルを俯瞰し、どの新製品開発の手法が適しているかをしっかりと分析し、クライアント企業に合わせてこそ、的確な新製品開発の仕組みを創り出すことができるのです。

コンセプト・シナジーでは、様々な種類の企業に対する長年のコンサルティング実績から、これらの3つの手法に精通しています。クライアント企業様のビジネスモデルをしっかりと分析し、最適な形の新製品開発の手法を提案し、アドバイスしていきます。

<図3>

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