【この記事でわかること】
・BtoBにおける商品企画とは何か、なぜ重要なのか
・BtoBとBtoCで商品企画の進め方がどう違うか
・BtoB企業の商品企画でつまずきやすい代表的な課題
・BtoBにおける商品企画の基本的なステップと組織体制
・コンセプト・シナジーの支援内容と相談先
特定の取引先からの依頼に応える日々が続き、自社の強みを活かした商品づくりに踏み出せない。顧客の要望どおりにつくっているのに売上や利益が伸びない。BtoB企業ではこうした悩みを抱える経営者や事業責任者が少なくありません。
この状況を変えるために重要なのが、BtoBにおける商品企画の考え方です。受注対応の延長ではなく、顧客の課題と自社の強みを起点に企画を組み立てる発想が求められます。本記事では、BtoBにおける商品企画の定義からBtoCとの違い、進め方、組織として機能させる仕組みまでを整理します。
BtoBにおける商品企画とは何か
BtoBにおける商品企画とは、企業や事業者を顧客とする市場に向けて新しい製品やサービスを構想し、提供価値を組み立てていく取り組みです。技術や仕様の検討にとどまらず、顧客が抱える課題と自社が提供できる価値を言語化し、商品コンセプトとして形にしていく仕事といえます。
商品企画は開発部門だけが担うものではなく、経営層・営業・開発が連携して進める前提となります。BtoBでは取引単価が大きく受注後の関係も長期にわたるため、企画段階での判断が事業全体の収益構造に影響しやすい領域です。
BtoBにおける商品企画の役割
BtoBにおける商品企画の役割は、顧客の業務課題や調達ニーズに対して、自社の技術や知見をどう提供すれば価値になるかを設計することです。受注を待つのではなく、能動的に提案できる商品を準備することで、価格交渉や取引条件で主導権を持ちやすくなります。
商品開発との違いと位置づけ
商品企画と商品開発は混同されがちですが、役割は異なります。商品企画はゼロからアイデアやコンセプトを立案する仕事、商品開発はその企画を実際の製品やサービスに具現化する仕事です。境界は企業によって異なりますが、企画段階で顧客課題と提供価値を明確にしておくほど、開発工程の手戻りが減り、商品化までの時間と費用を抑えやすくなります。
参考:J-Net21(中小企業基盤整備機構)「商品開発・市場開拓のための企画書の書き方」
https://j-net21.smrj.go.jp/solution/handbook/development/planning.html
BtoBとBtoCにおける商品企画の違い
BtoBにおける商品企画とBtoCにおける商品企画は、同じ「商品企画」という言葉でも、対象や進め方に違いがあります。BtoCの手法をそのまま持ち込むと、顧客の意思決定プロセスとずれた企画になり、成果につながりにくくなります。BtoBとBtoCの主な違いと、BtoBで意識したいポイントを確認します。
| 比較軸 | BtoBにおける商品企画 | BtoCにおける商品企画 |
| 顧客 | 数社から数十社など限定的 | 不特定多数の消費者 |
| 意思決定 | 複数の関係者による合意形成 | 個人の判断が中心 |
| 取引単価 | 高単価で長期取引が前提 | 比較的低単価で短期取引 |
| 評価基準 | 業務効果や投資対効果を重視 | 感性的な価値も影響しやすい |
顧客数が限定されることの影響
BtoBでは顧客となる企業数がBtoCに比べて少なく、アンケートのようなマス調査が難しい一方で、顧客一社ごとの理解を深めやすい側面があります。少数の顧客から得られる情報をどれだけ構造的に整理できるかが、企画の精度を左右します。
意思決定プロセスの違い
BtoBの購買では、現場担当者・部門責任者・経営層など複数の関係者が合意形成を経て導入を決めます。商品企画の段階から、誰が意思決定に関わり、どのような判断基準で動くかを想定しておく必要があります。現場の使いやすさと経営層の投資判断軸の両方を満たす設計が求められる場面もあります。
BtoB企業の商品企画でつまずきやすい3つの課題
BtoB企業が商品企画に取り組む際、現場で頻繁に発生する課題があります。これらは担当者個人の能力ではなく、組織の構造や進め方に起因する場合がほとんどです。次の3つは、BtoB企業の商品企画の場面で多くの企業が直面するポイントです。自社がどの段階でつまずいているのかを把握する材料として確認してみてください。
| よくある課題 | 背景 | 対処の方向性 |
| 要望をそのままニーズとして扱う | 顧客接点が営業任せ 大企業の意見が通りやすい | 要望と本質的な課題を切り分けて整理 |
| 技術視点が先行して市場視点が抜ける | 開発部門主導で企画が進む | 顧客課題を起点に企画フローを組み直す |
| 経営判断と商品企画が切り離されている | 商品企画が現場作業と捉えられている | 経営戦略のなかに商品企画を位置づけ |
顧客の要望をそのままニーズとして扱う
顧客が口にする「要望」と、その背景にある「ニーズ」は同じではありません。要望は具体的な仕様や機能として表現されますが、奥には業務上の課題や達成したい目的があります。要望をそのまま設計に落とすと、本来解決したかった課題からずれた商品になることがあります。要望を聞いた段階で立ち止まり、なぜそれを求めているのかを掘り下げる姿勢が欠かせません。
技術視点だけで企画が組み立てられる
製造業やシステム開発のBtoB企業では、技術部門が主導で企画を進める場面が多くあります。技術的な実現性は重要ですが、それだけで企画を組み立てると、自社が「つくれるもの」を中心とした発想になりやすくなります。市場や顧客の課題を起点に自社の技術をどう活かせるかという視点を組み合わせると、商品の方向性が定まりやすくなります。
経営判断と商品企画が切り離されている
商品企画が現場レベルの作業として扱われ、経営判断と連動していない場合、企画が事業戦略に結びつきにくくなります。どの市場で勝負し、どの顧客層に提供価値を届けるかという経営判断と方向性がそろっていなければ、企画に時間をかけても事業の成果につながりにくくなります。
BtoBにおける商品企画の基本ステップ
BtoBにおける商品企画は、思いつきや要望対応で進めると行き詰まりやすくなります。市場と顧客の理解からコンセプトの言語化までを段階的に進めることで、関係者の合意を得ながら着実に商品化につなげることができます。ここでは、実務で活用しやすい4つのステップを整理します。どこから手をつけるか迷う場合は、最初の市場と顧客の把握から取りかかることをおすすめします。
市場と顧客の状況を把握する
最初のステップは、自社が向き合う市場と顧客の状況を整理することです。業界全体の動きや顧客企業の事業環境、顧客自体のビジネスの方向性の変化を押さえることで、商品企画の前提条件が見えてきます。社内の営業情報、過去の見積もりや失注理由、業界レポートを材料に整理します。
顧客ニーズを構造的に整理する
顧客から得られた声は、要望・期待・不満などさまざまな粒度で集まってきます。これらをそのまま記録するのではなく、業務課題・達成したい目的・現状方法とそこでの問題点、代替方法の有無といった観点で分類し、整理します。同じ業界の顧客から似た声が繰り返し挙がる場合、その課題は商品企画のテーマとして検討する価値が高まります。
コンセプトを言語化して検証する
顧客課題と提供価値が見えてきたら、それを商品コンセプトとして言語化します。誰のどのような課題を、どのような価値で解決するかを一文で表現できる状態が望ましい姿です。コンセプトが固まったら想定顧客に提示してフィードバックを得ることで、精度を高められます。検証段階で違和感が見つかれば、練り直すことが手戻りを防ぐ近道です。
社内合意を形成して開発に移す
コンセプトが固まったら、開発部門・営業部門・経営層と合意形成を進めます。合意なく開発に進むと、後工程で仕様や優先順位を巡って混乱が生じます。投資規模・回収見込み・開発期間といった経営判断に必要な情報を整理し、関係者が同じ判断軸で議論できる場をつくることが大切です。
BtoB企業の商品企画を進めるうえで意識したい3つの視点

BtoB企業の商品企画を実務で進めるときには、ステップを踏むだけでなく、いくつかの視点を持ち続けることが成果を左右します。次の3つは、企画の方向性が顧客や事業からずれていないかを確認するうえで参考になる視点です。日々の業務に追われると見落とされがちなため、定期的に立ち戻る材料として活用してみてください。
顧客の声と顧客ニーズを切り分ける
顧客から得られる情報は貴重ですが、すべてがそのまま商品企画に使えるわけではありません。顧客の声は表面的な要望であることが多く、奥にある本質的なニーズを読み解く作業が必要です。ヒアリングで「現状方法はどういった方法を採用しているのか」「その方法の問題点はなにか」を問うことで、要望の背景にある課題に近づきやすくなります。
自社の強みを企画に反映させる
顧客課題が見えても、自社の強みと結びつかなければ、競合が同じものをつくれてしまう商品になりかねません。自社の技術・知見・実績を棚卸しし、どの強みをどの課題に向ければ独自の価値になるかを検討します。強みが言語化されていないと企画段階で価値を打ち出しきれないため、社内議論を通じて整理しておきます。
経営戦略と商品企画を接続する
商品企画は、経営戦略の延長線上にあって初めて意味を持ちます。どの市場で戦い、どの顧客層に価値を届けるかという経営判断と方向性をそろえることで、企画が事業成長に直結しやすくなります。経営層と商品企画担当者が定期的にすり合わせる場をつくることが現実的な方法です。
BtoB企業の商品企画を組織で機能させるための仕組み
BtoB企業の商品企画を継続的に成果につなげるには、担当者個人の力量だけでなく、組織として企画機能を支える仕組みが欠かせません。仕組みがない状態では、優れた企画が出てきても実行段階で止まってしまったり、担当者の異動で取り組みが途絶えてしまったりすることがあります。組織として商品企画を機能させるために検討したい3つの観点を挙げます。
商品企画を担う役割を明確にする
商品企画を誰が担うのか、役割と権限を組織のなかで明確にしておくことが第一歩です。営業と開発のあいだに位置づけて両者を調整するか、経営直下の機能として独立させるかは、企業規模や事業特性によって異なります。役割が曖昧なままだと企画の責任が見えにくくなり、現場で後回しにされがちです。
顧客接点情報を社内で共有する
商品企画の素材となるのは、日々の顧客接点で得られる情報です。営業担当者が個別に抱える情報を共有する仕組みがなければ、企画担当者は必要な材料にたどりつけません。商談記録・問い合わせ履歴・失注理由を蓄積し、誰でも参照できる状態にしておくことで判断材料が増えていきます。
企画から実行までを伴走できる体制をつくる
商品企画はコンセプトを立てて終わりではなく、開発・販売・改善の各段階で意思決定が必要になります。企画段階の議論と実行段階の現場が分断されていると、想定した価値が形にならないまま市場投入されてしまうリスクがあります。企画担当者が各局面に関われる体制を整えることで、当初のコンセプトを商品に反映しやすくなります。
BtoB企業の商品企画を見直して収益基盤を強くするならご相談ください
BtoB企業の商品企画は、目先の受注対応に追われていると後回しになりやすい一方で、事業の収益構造を大きく左右する取り組みです。顧客の要望と本質的なニーズを切り分け、自社の強みと経営戦略を結びつけて企画を組み立てることで、価格競争に巻き込まれにくい商品づくりにつながります。まずは自社の現状を整理し、企画機能のどこに改善余地があるかを見極めることが現実的な一歩です。
コンセプト・シナジーでは、高収益企業での実践経験を活かし、市場調査・顧客ニーズ分析・商品コンセプト設計・実行支援まで一貫して伴走するコンサルティングを提供しています。BtoB企業の商品企画の見直しを検討されている場合は、コンサルを体感できるオンライン無料トライアルも含めて、お気軽にお問い合わせください。